サービス・ブループリント
とは
コーチングサービスやカウンセリングサービスなどの対人支援における「サービスのブループリント」をご紹介いたします。

デリバリーと生産
サービス・ブループリントとは、サービス・マーケティングでよく用いられるツールです。端的に説明すると、サービスの受付から利用終了までの進行表を意味します。
各活動と活動のつながりを明らかにした進行表を意味するため、新しくサービスをデザインするための有効な手段とされています。
具体的には「サービス・デリバリー」と「サービス生産」で構成されるすべての活動を、詳細に記述したフローチャートを指します。
画像のフローチャートは、SOCIAL BRANDING COACH で実際に使用されているサービス・デリバリーの内容を表しています。
さらに、ご利用者様が直接体験する活動を「フロントステージ」といい、ご利用者様の目に触れない活動を「バックステージ」と呼んで、各活動を分類して記述します。
複数なプロセスを明確にすることができることから、「サービス提供者の詳細な役割」「サービスのオペレーション」「プロセス」「クライアントとの相互作用による関係構築」などを具体的に捉えることで、優れたサービス戦略を構築し実行することにも役立ちます。

ブループリントの作り方
「サービス・デリバリー」とは、サービスの提供方法を指し、サービスの提供が「いつ・どこで・どのように」なされるのかを、具体的にした内容を意味します。
「サービス生産」とは、実際にご利用者様とのやりとりで、体験としてのサービスが生じていくことを意味します。具体的なブループリントの記載では、1回のセッションの開始から終了までの流れで表すことができます。または、継続利用の場合は、1回のセッションの流れと合わせて、契約から終了までの流れ、もしくは、数回のセッションで構成される1クールの開始から終了までの流れを表すこともできます。
ブループリントに記載する活動は、各ステップに落とし込むことで作成することができます。
そして、コーチングサービスやカウンセリングサービスにおけるおおまかなステップは、例えば、以下の質問に答えることで、フローチャートの大枠を明確にしていくことができます。
■「サービス・デリバリー」
①「いつ」:サービスはいつ受けられるのか?
例:営業時間や営業日を設定し、予約制の場合は、決められた時間枠の有無を明確にし、初回面談の有無も明らかにしていく。等
②「どこで」:セッションは対面式・オンライン・電話のうちどれか?
例:対面であれば、提供場所に来てもらう必要がある。オンラインであれば、必要なアプリを使用してもらう必要がある。等
③「なにを」:何の予約を受け付けるのか?
例:初回面談の受付をするのか。単発セッションの受付をするのか。等
④「どのように」:申込み方法など、サービスを利用するために必要なことは何か?
例:電話予約は対応せず、Webサイトの専用フォームで予約を受付ける。等
■「サービス生産」
①どのようにセッションがはじまるのか?
具体化の質問:オリエンテーションやアプローチ、また、利用規約の説明はするのか?
②セッションの導入部は、どのように展開されるのか?
具体化の質問:何かこちらから質問するのか?
具体化の質問:特定のことから話してもらうよう促すのか?
具体化の質問:話しやすいように何か伝えるのか?
具体化の質問:アイスブレイクは行うのか?
など
③クライアントのニーズをどのように把握し、どのように具体的な支援内容・方針が決まるのか?
具体化の質問:話を伺っていくなかで、具体的な提供内容・方針を共に検討していくのか?
具体化の質問:提供できる選択肢をあらかじめ用意して、その中からニーズに適したものを共に検討するのか?
具体化の質問:話を伺っていくなかで、ニーズに対する理解を構築・修正して、その都度の理解にもとづいたこまかな応答をしていくことを、全般的な支援内容とするのか?
など
④どのような形でセッション時間終了を迎えるのか?
具体化の質問:次回の予約を受け付けるのか?
具体化の質問:アクションプランの作成などのセッションの成果物を作るのか?
具体化の質問:どのような言葉で締めくくるのか?
具体化の質問:どのように終了時間を伝えるのか?
など
(画像の図解は、実際に SOCIAL BRANDING COACH で使用されている「サービス生産」のサービス・ブループリント)


ブループリントの活用
上述の質問に回答していく中で、具体的にサービスについて想像することができ、その中で「なにが必要になるのか?」「事前に準備するものはあるか?」など、具体的なサービスづりくに発展していくことにつながります。
また、実際にサービス提供を行っていく中で、繰り返しブループリントのフローを詳細にし、パターンを増やすなどし、実際の提供内容に近づけていくことで、課題の特定をしたり、改善策をどのようにフローの中に適応するかといった戦略を、考えやすくしてくれます。
冒頭の画像では、フローチャートを使ってご紹介していますが、決まった様式があるわけではありません。それは、各ステップを詳細に記述することが最優先事項となるからです。
このことからも、サービス・ブループリントは、サービスの質を高めつつ、現実的なサービスづくりを可能にする、重要な設計図といえます。