対人支援サービスに特化した
ブランディング方法
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マーケティング領域には、サービスについて扱う分野である「サービス・マーケティング」があります。この分野では、サービス提供者との関係性から、ニーズを満たす体験が生じ、そこに商品としての価値が存在すると考えられています。これは、裏を返すと体験してみないとわからないという性質があり、「サービスの無形性」という特徴の一つに数えられています。この課題を解決するために、ブランディングの重要性がよく挙げられます。
ブランドとは、「それが何であるかがあいまいにならないよう識別させ、類似のものとの差別化をするために、名称・言語的表現・記号・シンボル等を組み合わせたもの」を指します。 ブランディングがうまくなされていないと、顧客視点からはどこの商品も同じようなものに映るというコモディティ化がなされてしまいます。
対人支援サービス領域におけるコモディティ化は、たとえば、どの支援も同じように感じられてしまうことで、どこにお願いしてよいのかわからないという状況が想定できます。この場合は、ニーズに適したサービスを選んだつもりでも、期待した水準の体験が生じないことで不満を体験し、金銭的にも精神的にも負担となるリスクが発生してしまいます。 こうした社会的にも損失となる状況を解決するためにも、ブランディングは重要な役割を果たしますが、マイナスをカバーするメリットの他に、プラスを生み出すメリットも多くあります。
ブランディングを考える中で、自身の対人支援サービスの突き詰めるポイントが明確になることから、独自の分野で専門性を高めていくこととなり、自ずとポジショニングが定まって、その分野でリーダーシップをとる存在になることができます。
それぞれの対人支援サービスが独自の分野でリーダーシップをとることは、日本のソーシャル・サポートの資源が強化されることにつながり、社会でさまざまな困難を経験する人びとを、支援者のネットワークで支える点でも重要になります。つまり、「このことに関しては、このようにお役に立てます」というニーズに適した専門性という器を、支援者一人一人が独自に確立することで、支援者間にも信頼が生まれ、問題に対して共に協力し合える可能性が高まり、互いにより良く発展していける関係性を構築することもできます。
SOCIAL BRANDING COACH では、この信頼関係を深めるブランディングの考え方を、盃を交わすという言葉の意味と絡めて「さかずきモデル」としてご提案しております。
この"盃"が、皆様のサービス・ブランドの信頼関係が高まることに寄与し、ひいては、社会全体のサポート資源の質を向上させることにつながるよう、心を込めてご提供してまいります。
01 ブランド・ビジョン
(ブランドの志向性)
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最初に、ブランドの土台部分について考えていきます。創業者が対人支援サービスを通して、自身のサービス・ブランドが、どのような存在(社会的役割)になることを目指し、何を実現しようとしているのか、そのためにどのようなことを大切にしたいのか、などを言語的表現で決定します。
ブランド・ビジョンは、短いフレーズで表せるものではなく、複数の言語的表現を組み合わせて作ります。ブランドを構成することになる4つ前後の中核的要素を軸に、その他の重要な要素群で構成することができます。 このブランド・ビジョンの内容にもとづいて、理念やサービスのコンセプト、サービス内容やマーケティング施策などが作られることによって、全体としての一貫性が形成され、特定の見込み客などに支持されやすくなります。
02 ブランド・アイデンティティ
(ブランドの同一化)
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提供するサービスが、どの業界・市場に位置するもので、どのようなジャンル・カテゴリーの商品となるのかを明文化します。
さらに、提供するサービスが主に満たそうとするニーズと、そのための基本的な役割を明らかにします。
この2つの観点から、想定する見込み客の認識に、自身のブランドについての連想(認識したときに思い浮かぶ事柄)を確立し、その連想とニーズの一致が大枠で図られることを目指します。
たとえば 、SOCIAL BRANDING COACH は、「コンサルティング業界の市場に位置し、起業支援のカテゴリーで、起業家人材教育および事業戦略の策定に関わるコーチングサービスを、対人支援サービス領域に特化してご提供する」と、カテゴリーと特定のニーズに対する基本的な役割について明文化しています。
03 ブランド・ミーティング
(ブランドの意味)
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自身のサービス・ブランドが表す意味のまとまりについて、見込み客の視点で「このブランドを具体的にどう捉えたらいいのか?」といった観点から考えます。 このブランド・ミーニングにもとづいて、サービス名やブランドカラー、シンボル・ロゴ、サービス提供場面の雰囲気などのブランド要素を作り、見込み客の認識にブランド連想が十分に構築されることを目指します。
より具体的には、ブランド・ミーティングは「ブランド・パフォーマンス」「ブランド・イメージ」に分けて明確にすることができます。
■ブランド・パフォーマンス
「ブランド・パフォーマンス」とは、サービスが機能面で、見込み客のニーズや期待をどの程度満たすかということを意味します。端的にいえば、実際に顧客の役に立つ点や価格を含めたサービスの質のことです。 見込み客のニーズや期待を満たすサービスを設計して提供することは、マーケティングを成功させる必要条件となります。 ブランドのポジショニングは、以下の6つの要素群のうち、いずれかに何らかの優位性があるかにかかっています。
ブランド・パフォーマンスの6つの要素
①コアサービスと促進的サービス:特定のニーズに対してどのようなサービスを提供し、生み出そうとする基本的なベネフィットは何か。また、コアサービスに価値を与えて差別化を図る促進的サービスは何か。
②サービスの信頼性:パフォーマンスが一定であることや、提供の持続可能性。
③サービスの効果:見込み客が求める条件を、ブランドがどれだけ満たしてるのか。
④サービスの効率:段取りや迅速さ、対応のよさ。
⑤サービスへの共感:サービス提供者が利用者からどれだけ信頼され、親切心があり、消費者の利益を考えていると思われているか。
⑥コストパフォーマンス:価格がサービスに釣り合っているか。
■ブランド・イメージ
ブランド・イメージは、見込み客の心理的ニーズや社会的ニーズを、どのような形で満たそうとしているかといった、サービスの付帯的な特性を表します。 ブランド・パフォーマンスとは異なり、ブランドが実際に何の役に立つのかではなく、抽象的にどう思われているかが、ブランド・イメージとなります。
次の3つの観点から、ブランドの無形の側面をよく表現する連想を明確にします。
①利用者のプロフィール:「どのような人が、そのサービスを利用するのか」といった、見込み客が抱くイメージとしての利用する人物像を表します。 具体的には、利用者についての社会的イメージや、憧れの利用者の人物像が挙げられます。
この人物像は、個人の特性よりも、集団的アイデンティティという観点で捉えます。
集団的アイデンティティを明確化する基礎は「記述的デモグラフィック要因」と「抽象的なサイコグラフィック要因」によって構成されます。
a.「記述的デモグラフィック要因」は、性別・年齢・職業・所得などのカテゴリー群から捉えるものを指します。
b.「抽象的なサイコグラフィック要因」は、人生・キャリア・財産・関心のあることなどが挙げられます。
②利用シーン:どのような雰囲気の空間で、対人支援が行われるのかを表します。対面の場合、リラックスできる環境づくりに反映させる必要があります。オンラインサービスの場合、画面越しに感じられる人物の服装や部屋・背景などに反映させることが考えられます。
③提供者アイデンティティと体験価値:想定される見込み客が抱く、サービス提供者の望ましい人物像として「このように接してくれるだろう」「このような人間性を感じられる」など、利用者に対する提供者の言動や振る舞いを、ここでは「提供者アイデンティティ」と名づけています。このアイデンティティには、利用者との関わりで、どのような存在として役に立ってくれるのかというブランド・パフォーマンスにも関係します。