top of page

​対人支援サービスに特化した
ブランディング方法

「盃モデル」対人支援サービス売り込まない集客のためのブランディングモデル(全体像)_2024.png

マーケティング領域には、サービスについて扱う分野である「サービス・マーケティング」があります。この分野では、サービス提供者との関係性から、ニーズを満たす体験が生じ、そこに商品としての価値が存在すると考えられています。これは、裏を返すと体験してみないとわからないという性質があり、「サービスの無形性」という特徴の一つに数えられています。この課題を解決するために、ブランディングの重要性がよく挙げられます。

ブランドとは、「それが何であるかがあいまいにならないよう識別させ、類似のものとの差別化をするために、名称・言語的表現・記号・シンボル等を組み合わせたもの」を指します。 ブランディングがうまくなされていないと、顧客視点からはどこの商品も同じようなものに映るというコモディティ化がなされてしまいます。

対人支援サービス領域におけるコモディティ化は、たとえば、どの支援も同じように感じられてしまうことで、どこにお願いしてよいのかわからないという状況が想定できます。この場合は、ニーズに適したサービスを選んだつもりでも、期待した水準の体験が生じないことで不満を体験し、金銭的にも精神的にも負担となるリスクが発生してしまいます。 こうした社会的にも損失となる状況を解決するためにも、ブランディングは重要な役割を果たしますが、マイナスをカバーするメリットの他に、プラスを生み出すメリットも多くあります。

ブランディングを考える中で、自身の対人支援サービスの突き詰めるポイントが明確になることから、独自の分野で専門性を高めていくこととなり、自ずとポジショニングが定まって、その分野でリーダーシップをとる存在になることができます。

それぞれの対人支援サービスが独自の分野でリーダーシップをとることは、日本のソーシャル・サポートの資源が強化されることにつながり、社会でさまざまな困難を経験する人びとを、支援者のネットワークで支える点でも重要になります。つまり、「このことに関しては、このようにお役に立てます」というニーズに適した専門性という器を、支援者一人一人が独自に確立することで、支援者間にも信頼が生まれ、問題に対して共に協力し合える可能性が高まり、互いにより良く発展していける関係性を構築することもできます。

SOCIAL BRANDING COACH では、この信頼関係を深めるブランディングの考え方を、盃を交わすという言葉の意味と絡めて「さかずきモデル」としてご提案しております。

この"盃"が、皆様のサービス・ブランドの信頼関係が高まることに寄与し、ひいては、社会全体のサポート資源の質を向上させることにつながるよう、心を込めてご提供してまいります。

​01 ブランド・ビジョン
​ (ブランドの志向性)

「盃モデル」対人支援サービス売り込まない集客のためのブランディングモデル(第一段階)_20241212.png

最初に、ブランドの土台部分について考えていきます。創業者が対人支援サービスを通して、自身のサービス・ブランドが、どのような存在(社会的役割)になることを目指し、何を実現しようとしているのか、そのためにどのようなことを大切にしたいのか、などを言語的表現で決定します。

ブランド・ビジョンは、短いフレーズで表せるものではなく、複数の言語的表現を組み合わせて作ります。ブランドを構成することになる4つ前後の中核的要素を軸に、その他の重要な要素群で構成することができます。 このブランド・ビジョンの内容にもとづいて、理念やサービスのコンセプト、サービス内容やマーケティング施策などが作られることによって、全体としての一貫性が形成され、特定の見込み客などに支持されやすくなります。 

​02 ブランド・アイデンティティ
 (ブランドの同一化)

「盃モデル」対人支援サービス売り込まない集客のためのブランディングモデル(第二段階)_2024.png

提供するサービスが、どの業界・市場に位置するもので、どのようなジャンル・カテゴリーの商品となるのかを明文化します。
さらに、提供するサービスが主に満たそうとするニーズと、そのための基本的な役割を明らかにします。

この2つの観点から、想定する見込み客の認識に、自身のブランドについての連想(認識したときに思い浮かぶ事柄)を確立し、その連想とニーズの一致が大枠で図られることを目指します。
たとえば、SOCIAL BRANDING COACH は、「コンサルティング業界の市場に位置し、起業支援のカテゴリーで、起業家人材教育および事業戦略の策定に関わるコーチングサービスを、対人支援サービス領域に特化してご提供する」と、カテゴリーと特定のニーズに対する基本的な役割について明文化しています。

​03 ブランド・ミーティング
​ (ブランドの意味)

「盃モデル」対人支援サービス売り込まない集客のためのブランディングモデル(第三段階)_20241212.png

自身のサービス・ブランドが表す意味のまとまりについて、見込み客の視点で「このブランドを具体的にどう捉えたらいいのか?」といった観点から考えます。 このブランド・ミーニングにもとづいて、サービス名やブランドカラー、シンボル・ロゴ、サービス提供場面の雰囲気などのブランド要素を作り、見込み客の認識にブランド連想が十分に構築されることを目指します。

より具体的には、ブランド・ミーティングは「ブランド・パフォーマンス」「ブランド・イメージ」に分けて明確にすることができます。

 

■ブランド・パフォーマンス

「ブランド・パフォーマンス」とは、サービスが機能面で、見込み客のニーズや期待をどの程度満たすかということを意味します。端的にいえば、実際に顧客の役に立つ点や価格を含めたサービスの質のことです。 見込み客のニーズや期待を満たすサービスを設計して提供することは、マーケティングを成功させる必要条件となります。 ブランドのポジショニングは、以下の6つの要素群のうち、いずれかに何らかの優位性があるかにかかっています。

 

ブランド・パフォーマンスの6つの要素

①コアサービスと促進的サービス:特定のニーズに対してどのようなサービスを提供し、生み出そうとする基本的なベネフィットは何か。また、コアサービスに価値を与えて差別化を図る促進的サービスは何か。

②サービスの信頼性:パフォーマンスが一定であることや、提供の持続可能性。

③サービスの効果:見込み客が求める条件を、ブランドがどれだけ満たしてるのか。

④サービスの効率:段取りや迅速さ、対応のよさ。

⑤サービスへの共感:サービス提供者が利用者からどれだけ信頼され、親切心があり、消費者の利益を考えていると思われているか。

⑥コストパフォーマンス:価格がサービスに釣り合っているか。

 

■ブランド・イメージ

ブランド・イメージは、見込み客の心理的ニーズや社会的ニーズを、どのような形で満たそうとしているかといった、サービスの付帯的な特性を表します。 ブランド・パフォーマンスとは異なり、ブランドが実際に何の役に立つのかではなく、抽象的にどう思われているかが、ブランド・イメージとなります。 

次の3つの観点から、ブランドの無形の側面をよく表現する連想を明確にします。

 

 ​①利用者のプロフィール:「どのような人が、そのサービスを利用するのか」といった、見込み客が抱くイメージとしての利用する人物像を表します。 具体的には、利用者についての社会的イメージや、憧れの利用者の人物像が挙げられます。

この人物像は、個人の特性よりも、集団的アイデンティティという観点で捉えます。

集団的アイデンティティを明確化する基礎は「記述的デモグラフィック要因」と「抽象的なサイコグラフィック要因」によって構成されます。 

a.「記述的デモグラフィック要因」は、性別・年齢・職業・所得などのカテゴリー群から捉えるものを指します。

b.「抽象的なサイコグラフィック要因」は、人生・キャリア・財産・関心のあることなどが挙げられます。 

 

②利用シーン:どのような雰囲気の空間で、対人支援が行われるのかを表します。対面の場合、リラックスできる環境づくりに反映させる必要があります。オンラインサービスの場合、画面越しに感じられる人物の服装や部屋・背景などに反映させることが考えられます。 

 

③提供者アイデンティティと体験価値:想定される見込み客が抱く、サービス提供者の望ましい人物像として「このように接してくれるだろう」「このような人間性を感じられる」など、利用者に対する提供者の言動や振る舞いを、ここでは「提供者アイデンティティ」と名づけています。このアイデンティティには、利用者との関わりで、どのような存在として役に立ってくれるのかというブランド・パフォーマンスにも関係します。

​04 ブランド・レスポンス
​ (ブランドへの反応)

「盃モデル」対人支援サービス売り込まない集客のためのブランディングモデル(第四段階)_20241212.png

ニーズが一致した見込み客が抱く思考面や感情面の反応を想定し、形成される印象を明確にします。 この印象から、見込み客が積極的に情報収集を行ったり、利用の申込みなどの望ましい行動が促されるので、ブランドへの反応を多角的に確認してから、期待する印象形成を目指して打ち出すポイントを明確にし、Webサイト作りやマーケティング施策に活かすことが重要になります。

具体的には、ブランドへの反応として、理性的な反応から生まれるものを「ブランド・ジャッジメント」、感性から生まれるものを「ブランド・フィーリング」と区別して想定します。 

 

■「ブランド・ジャッジメント」 想定する見込み客が、サービスの申込みや利用を決定する要因について検討します。「ブランド・パフォーマンス」と「ブランド・イメージ」についての多種多様な連想を組み合わせて、利用の決定要因が作られます。 さらに、利用の判断軸は、大きく4つのタイプに分けられます。​

 

①ブランド品質:ブランドに対する利用者の全般的評価のことを指します。これは、自身のサービス・ブランドが選択されるかを左右し、「品質・購入意図・期待度・独自性」で評価できます。

 

②ブランド信用:サービス提供者への評価で、能力があり、顧客のことを考え、純粋に魅力があるかなどで評価されます。 具体的には以下の3つの評価のされ方があります。

a.「ブランドの専門性」:有能さがあり、革新的で、その業界のリーダーとなっているか?

b.「ブランドの信頼性」:信頼に足り、利用者の利益を念頭に置いているのか?

c.「ブランドの魅力」:楽しさや面白さなど、何らかの魅力的な要素があり、そこに利用者が時間を費やすだけの価値があるか?

 

③ブランド考慮:想定される利用者が、ブランドにどれだけ個人的な関心を持ってくれるかを意味します。 このブランド考慮は、ブランド・イメージの一部として、どれだけ明確で好ましいブランド連想が確立されるかに影響します。

 

④ブランド優位性:想定される利用者が、他のサービス・ブランドにない利点を持っていると評価することを指します。 ブランドと利用者との間に、強固で活発なリレーションシップを築くうえで、ブランド優位性はきわめて重要になります。 独自性のあるブランド連想を、どこまでブランド・イメージとして形成できるかが鍵になります。 

 

 ■「ブランド・フィーリング」

これは、自身のサービス・ブランドについて、想定する見込み客が抱く感情的反応を意味します。 ブランド・サービスが、どのような事柄を喚起するかを考えることで、マーケティング施策の方針が決まってきます。 ブランドにひもづく感情は、サービスを申込む際にも、利用中にも強く影響します。 フィーリングは大きく6種類に分けることができます。

 

①「温かさ」:ブランドから、落ち着いた雰囲気を感じ、温かい気持ちや感傷的な気持ちになることを指す。

②「楽しさ」:ブランドから、明るさを想起し、ワクワクする気分になることを指す。

③「高揚感」:ブランドから、非日常的な期待を抱き、特別な気分になることを指す。

④「安心感」:ブランドから、安堵感を持ち、余計な不安や心配を抱かずに済むような安心感が得られることを指す。

⑤「社会的承認」:ブランドから、ある種のステータスを想像し、自信を持てることを指す。

⑥「自尊心」:ブランドから、希望や有用感を見いだし、充実感や自己効力感を持てることを指す。

​05 ブランド・リレーション
 シップ
​ (顧客との関係構築)

「盃モデル」対人支援サービス売り込まない集客のためのブランディングモデル(最終段階)_20241212.png

サービス・ブランドに信頼性と愛着が形成されることを目標として、近い将来に顧客とどのような関係性を育み、そのためにどのようなことを打ち出していけばいいのかを明確にします。そして、この内容にもとづいて、重視するサービス体験やマーケティング施策を具体的に考えます。 サービス開始後も繰り返しリレーションシップのあり方を見つめることで、ご愛顧されるような関係性を、発展的に創出していきます。 

また、このような関係性を時間をかけて構築することで、サービス・ブランドに対する信頼性を意味する「ロイヤリティ」や、サービス・ブランドに親しみを持てることを表す「愛着」が育まれていきます。このことから、ブランド力や価値は、顧客によって作られるといえます。

ちなみに、「ロイヤリティ」と「愛着」の例として、以下のようなものがあります。

 

■「ロイヤリティ」

①このブランドとの関わりは大切にしたい。

②自分が求めているものは、このブランドのサービスでしか得られない。

③このブランドが世間から消えたとしたら、探してでも再びつながりを持ちたい。

 

■「愛着」

①このブランドが提供するサービスは、自分にとってサービスを越える体験価値がある。

②このブランドは、自分にとって特別な意味がある。

③このブランドが世間から消えたとしたら、とても寂しい。

bottom of page