ブランドの重要性
サービスにおけるブランディングとは、何を目的にどのようなことを行えば、サービス・ブランディングをしたといえるのか、についてサービスという商品の特性を踏まえながらご紹介いたします。
ブランドとは
ブランディングの歴史は古く、食肉用の牛などの家畜を、所有者が識別しやすくするため、焼き印を用いたことにルーツがあるとされています。ブランド という言葉の起源も「焼き印をつける」を意味する古ノルド語"brandr" から派生しています。
現代では、マーケティング用語として広まり、物やサービスを作って世の中に提供する際、それが何であるかがあいまいにならないよう識別させ、類似のものとの差別化をするために、名称・言語的表現・記号・シンボル等を組み合わせたものを、ブランドと呼びます。
消費者のリスク
仕入れたものも含めた売り物を「商品」というのに対し、自ら物やサービスを生み出して世の中に提供するものを「プロダクト」または「製品」といいます。
上述のブランドの定義から、新しいプロダクトを作り、それに名前をつけてロゴ・マークをデザインして添えれば、ブランドが作られたことになります。
しかしながら、喜ばれる価値を新しく作っても、いきすぎた営利追求の発想から類似のものが後追いで増え、ブランドさえも似たものにされてしまった結果、消費者からは「どれも同じ」という認識が持たれやすい状況があります。
このように、消費者にとって特徴を識別できない売り物のことを「コモディティ」といいます。
このコモディティ化によって、ニーズに適した物やサービスを選んだつもりでも、類似のものを購入してしまうことで、さまざまな損失を招きます。
消費者に損失をもたらすことについて、具体的には以下のような6つのリスクが挙げられます。
1.時間的リスク
プロダクト選びの失敗から、満足のいく他のプロダクトを探す機会コストが発生する。
2.機能的リスク
プロダクトが、期待した水準の機能を果たさないことで、不満を体験する。
3.金銭的リスク
プロダクトが、支払った価格に値しないことで、金銭的損失を被る。
4.身体的リスク
プロダクトの使用者や利用者に、身体的・健康的危害を与える。
5.心理的リスク
プロダクトが、使用者や利用者の精神に悪影響を与える。
6.社会的リスク
プロダクトが、他者に迷惑をかけてしまうことで、使用者や利用者などの責任が問われたり、名誉・信頼を落とす。
消費者マインドを意識したブランド
このリスクを問題視したマーケターたちは、ブランドに対する考え方をより一層高次のものに引き上げました。
つまり、提供側だけで完結する考え方から、消費者のマインドも含めてブランドの存在・理解・イメージなどを確立することに、重点を転換したのです。
特定のブランドが、消費者自身にとって意味あるものとして明確に捉えられるようブランディングを進めることで、替えのきかない持 続的な優位性を築くことができます。
現代の焼き印である、名称・シンボル・カラーなどは、この消費者マインドを含んだ意味で、活用されるようになりました。
これにより、ブランドの果たす役割は、消費者の意思決定を助けると同時にリスクから守り、誠実にモノづくりやサービスづくりに取り組む個人や組織に、信用が集まることで報われるような仕組みとして、発展したのです。